山口百恵さんを考える

現役大学生が山口百恵さんについて考えます。

7曲目冬の色

「ひと夏の経験」

1974年12月10日

作詞:千家和也

作曲:都倉俊一

週間オリコンランキング1位

https://youtu.be/syqN8DUfAAk

初期の頃の山口百恵は「青い性路線」が注目されることが多いです。しかし意外にも初めてオリコン週間ランキング1位を取った曲は、「青い性路線」直後の7枚目のシングル「冬の色」なのです。

この曲は、「春風のいたずら」から続く季節路線の最終曲で、短調(ト短調)のゆっくりしたテンポは今までの曲と比べると落ち着いた地味な印象を受けます。

歌詞は「あなたから許された」「あなたから頂いた」「あなたなら他の子と遊んでるとこを見つけても待つことができる私です」と愛する男を想う少女の純愛がテーマです。山口百恵が演じる主人公の女の子は、相手の男に許しを請い、謙譲語を使い、浮気すらも許しています。この世界観は男にとっては理想の、都合のいい女像といえるのではないでしょうか。この男尊女卑の世界観の原因は、女性アイドルは男性ファンの疑似恋愛対象であると考えられているため、歌詞のターゲットを男性をにしているからです。そのため女性アイドルは、いかに理想の彼女になれるかが求められました。そのため恋愛禁止を掲げたり、恋愛スキャンダルが発覚するとバッシングを浴びるのです。

しかし山口百恵の場合、他の女性アイドルと違い男性ファンよりも女性ファンの支持が大きいと言われています。その理由の1つが冬の色の1位なのです。曲調も歌詞も地味なこの曲がヒットした理由は、「青い性路線」の頃から存在した山口百恵の隠れ女性ファンが、この路線の終わりと共にレコードを買ったからではないでしょうか。

「青い性路線」の性を連想させる刺激的な歌詞は、好奇心旺盛な男性が喜びそうな内容です。それによって、山口百恵は話題になりテレビへの露出も増えて知名度も上がりました。しかし、山口百恵本人は「蒼い時」において、「「青い果実」の歌詞を初めて見たとき「こんな詞、歌うんですか」言ったか言わなかったかは、さだかではないが、口に出さないまでも、気持ちは完全に拒否していた」と自叙伝の「蒼い時」で語っています。このような山口百恵の反応から、仮に同世代の少女が山口百恵に興味を持った場合、このレコードを買う人は少ないと考えられます。クレームが来るほどの歌詞であるため、親や周りから何か言われるのを恐れてレコードの購入を躊躇する可能性は高いはずです。一方で「冬の色」は何の当たり障りもない歌詞です。

つまり、隠れていた山口百恵ファンの少女が、やっと躊躇することなくレコードを買うことができたから、「冬の色」は1位になったのではないでしょうか?

【今日のまとめ】

・冬の色は初の1位

・歌詞は地味

・女性からの支持を集めている証拠